取引先から「電⼦契約サービスの利⽤」の要望を受けることが多くなってきており、契約締結権限者の関知しないところで契約締結や契約書保管の漏れなどが発⽣しかねないと考えました。⾃社で早く電⼦契約できる体制を整えないといけない、と感じ、私が所属する情報システム部と法務部が起点となって電⼦契約システムを利⽤できる環境を整えました。
そこでSMBCクラウドサインを選んだのは、銀行という高いセキュリティやコンプライアンスが求められる業界で使われており安心感があること、API連携が可能であることが決め手になりました。
このコロナ禍で在宅勤務が増え、紙書類に物理的な押印をして契約業務を回していくのが難しくなった、というのはあります。契約書への押印や発送や受領後の管理などのために出社が必要になるのは課題と感じていました。
私たちが一番気にしていたのは、契約という大事な業務であって、コクヨ社内だけに止まるものではなく、取引先の方にも使っていただくことになる、というところでした。電子契約サービスを見ていくと、2種類に大別できることがわかりました。
1つは取引先の方でユーザー登録してもらうサービス。もう1つはSMBCクラウドサインのように、取引先の方でユーザー登録の必要がないものです。取引先の目線で見ると、ユーザー登録が不要なSMBCクラウドサインなら受け入れてもらいやすいと思いました。
電子契約システムの環境を整える話が持ち上がったのが2020年3月頃で、そこからSMBCクラウドサインとやりとりさせていただいて導入を進めました。
紙の契約書に課題があったり、すでに自分たちで電子契約サービスを調べていた部署から導入しましたので、前向きに進めてくれました。
ただ、みなさん知識があっただけに、単純な使い方の説明というよりは、「法律上この契約に利用できるのか」「法律に照らし合わせて、この契約ではどう使えばいいのか」といった、かなり深い質問を受けることが多かったですね。
そういう質問があったときは、使い方やシステム連携の部分については情報システム部の私から回答しますが、電子署名法や契約そのものに関しては法務部に意見を求めたり、電子帳簿保存法については理財本部に確認して対応していきました。
時代に合わせて業務をデジタル化していかないといけない、という意識を持っている社員は多いと感じています。
ただ、導入にあたっては、組織ごと、契約書ごとのルール整備が大変ではありました。たとえば法律上はまだ電子化できない契約書もあります。
また、発注するときの注文書は電子化しましたが、その後には納品書や検収書、請求書が続きますので、どこまで電子化すべきか、という問題もありました。そういったSMBCクラウドサインを利用する範囲を決めるところは、業務に混乱をきたさないように慎重に検討していきましたね。
部署によっても異なりますが、大まかなフローは、まず稟議などで承認を得た後に契約書ファイルをSMBCクラウドサインにアップロードします。社内承認者と取引先の承認者を設定して契約書を送信し、あとは互いの承認者が承認ボタンを押していって、全員の承認が得られれば契約締結となります。
契約締結が完了した瞬間には、API連携でそれを検知して、電子署名が付与された契約書を部署ごとに管理しているクラウドストレージのフォルダに自動保存するようにしています。同時に、共有しているスプレッドシートに契約書の取引先や、クラウドストレージの保存場所を示すリンクなどを自動で書き込んでいくようにもしています。
こうすることで、クラウドストレージのフォルダに部署ごとの契約書が貯まっていき、契約書の保管漏れがなくなります。スプレッドシート上ではインデックス化もされていくので、契約書の保管・管理業務をしている担当者としては、楽に履歴管理ができる仕組みになっていると思います。
紙の契約書を押印のために承認者にいちいち回さずに済み、郵送のための作業もなくなったことで、工数は明らかに削減できています。また、それらの業務のために出社しなくて良くなったことも⼤きいですね。
契約締結にかかる時間も短縮できています。一番効果があったのは人事関連部門で、雇用契約書などのやりとりが、これまで1週間はかかっていたところ、2日程度で完了するようになったので、5日間も短縮できていることになります。
雇用契約は更新を含めると数が多いので、契約書類の封入作業、郵送作業には特に工数がかかっていました。SMBCクラウドサインの「一括送信機能」を使うことで、ワンクリックで大人数に送れるところは大変役に立っていますね。
スモールスタートで推進しているところもあって、今のところは1組織ごとに私の方からSMBCクラウドサインの活用を提案して使ってもらう形にしています。というのも、先ほど申し上げたような「法律上、電子で契約できるかどうかの確認」や「部署ごとの契約のルール整備」をキチンとするためです。
大きい金額が動く契約については、念のため紙の契約書でやりとりするようにしていますので、収入印紙を省くことによるコスト減もまだ限定的なところがあります。このあたりも今後は電子化できるように検討を重ねていこうと考えています。
また、SMBCクラウドサインを導入した部署でも、取引先によっては、ルールなどで電子契約が使用できない、契約システムが電子契約に対応していないなどもあります。それでも私がいる情報システム部で言えば業務委託契約の6割が電子化できています。
運用を始めて1年以上過ぎ、SMBCクラウドサインを推進している側としては知見がどんどん貯まってきています。運用体制やAPI連携による環境構築といったところは、現状はほぼ満足いく形にできていますので、あとは社内に周知して利用率を上げていくことが重要だと思っています。
SMBCクラウドサインを実際に使用している部署はまだ少なく、未導入の部署の方は、おそらく契約を電子化することで「どれくらい効果があるのか」がイメージできていないところもあると思います。
ただ、先ほど申し上げた、人事関連部署での雇用契約などは工数削減効果も試算できていますので、社内に広めていくことを考えているところです。
API連携そのものを広げていくことは考えていませんが、万一システム上の不具合などでAPI連携できなかったときに、それを検知するための仕組みを検討しています。API連携に失敗してしまうと、当社のクラウドストレージに契約書データが残らない、ということになりますので。
あと、すでに注文書は電子化できていますが、それにひもづく納品書と請求書は紙ですので、電子データと紙とを紐づけて確実に管理できるようにする仕組みも検討する必要があります。
SMBCクラウドサインは、とにかく「使いやすさ」が際立っていると感じます。取引先の方でユーザー登録をしていただく必要がないなど、自分たちはもちろん、取引先の方も使いやすいのが魅力ですね。またAPIによるシステム連携も容易で、自分たちにとって都合よく、柔軟にカスタマイズ出来るのもいいところです。
我々の場合、契約書の件数がかなり多く形式がある程度決まっているものに対し、一括送信機能などによって大幅な効率化ができました。
同じように扱う契約書の数が多い企業ほど、SMBCクラウドサインの効果はより顕著に表れてくるのではないかと感じています。
サービス説明資料、セキュリティガイド、社内システムと連携可能なAPI説明資料、書類の送付先に送ることで導入を容易にする受信者向けガイドといった各種資料をご用意しております。導入検討にお役立てください。