柿島氏
当行は埼玉県に本店を置いている唯一の地銀で、創業から70年以上変わらず、埼玉という地域に密着して地元企業様や個人のお客様を支援してきました。約100店舗ある営業店のほとんどが埼玉県内にあり、都内にも3店舗ありますが、基本的に埼玉と都心をつなぐ導線上、あるいは埼玉と東京が接する地域などに位置しています。シンガポールにある駐在員事務所も、埼玉のお客様が海外進出していく際の現地のサポート役として活動しています。
武蔵野銀行 デジタル推進部 業務改革グループ 齊藤慎吾氏
齊藤氏
当行でもペーパーレス化を進めているものの、紙中心の文化が根強く残っており、特に契約に関しては課題と感じていました。お付き合いさせていだいている企業様からも「電子契約はできないのですか」と確認されることもしばしばありました。
そんななか、私の所属しているデジタル推進部が行内業務のデジタル化やデジタルサービスの創出などを担う部署として2023年4月に立ち上がりました。業務のデジタル化を進めるにあたり、何に取り組んでいくかを考えたときに、電子契約のサービスであればスピード感をもって導入できると判断し、第1号案件としてSMBCクラウドサインを導入することにしました。
お客さまに向けた直接のサービスではなく、関連会社や委託事業者・システムベンダー等との契約業務の効率化を目指した取組みとなります。
齊藤氏
1つは契約締結にかかる業務負担です。契約書には代表者印や部長印を押印することになりますが、そうした印章を扱う権限を有するのは部長本人か一定の役職以上の人間となります。1件や2件なら良いものの、多数の契約では結構な負担となっており、そういった負担を軽減できないかというところです。
2つ目は郵送などの手間です。契約書のドラフト版や正式な原本を郵送でやり取りするときには、その都度印刷や封入の手間もかかりますし、郵送費もかさみます。このほか、収入印紙のコストや貼付作業の手間も少なくありませんでした。
3つ目は契約締結後の書類管理です。一定の役職以上でなければ書類の入出庫ができず、仮に担当者が参照したくてもすぐに見られないということがありました。また、一部は担当者が締結時にスキャンして手元にデータ保管しているなど、一貫した管理ができていないところもありました。
齊藤氏
電子契約をめぐる法整備が進むなか、導入する電子契約サービスはそうした法律にしっかり対応しているものであるかどうか、という論点がありました。SMBCクラウドサインはISMAP(政府情報セキュリティ評価制度)など国内外部機関による認証を取得(※1)しており、他の銀行での導入例も多い。これなら法的リスクは低いだろうと思いました。
もう1つは導入しやすいサービス形態だったことです。他のサービスはユーザーアカウントの数に応じた料金設定になっていることが多いのですが、SMBCクラウドサインは基本料金がかかるものの、あとは送信件数に応じた従量課金制です。行内インフラの1つとして位置付け、いつでも誰でも利用できるようにしておくことが重要だと思っていましたので、アカウント数を増やしても料金が余計にかからないSMBCクラウドサインは当行の考え方にも合致していました。
齊藤氏
2023年春頃から導入検討を始めて6月に契約しました。それから約3カ月かけて説明会などを実施し、2023年9月から運用を開始しています。システム面での準備作業はほとんど不要で、行内向けにマニュアルなどの資料を作成したうえで、説明会を独自に開催して浸透を図りました。
齊藤氏
本部内の誰もが使いたいと思ったときにすぐ使えるよう、全員分のアカウントを発行しています。締結に至るまでの承認者については、もともと紙契約のときに捺印する権限を有していた人間を設定するようにしました。
また、相手方によってはSMBCクラウドサイン以外の電子契約サービスを使用しているケースもありますので、漏れなどが発生しないように、締結した契約書のデータはすべてSMBCクラウドサインのキャビネットに部門ごとに分けて保管するルールとしました。
齊藤氏
サービスや製品を購入するときにベンダーとやりとりする発注書、もしくは営業店で使用する車両のリース契約が一番多いですね。あとは秘密保持契約書でも利用しています。特定の用途に限定しているわけではなく、法的に電子契約が不可のものなどを除き、原則電子契約で、というように全行に案内しています。
柿島氏
人事部では人材採用時の内定承諾書に類する内定式参加申込書と、入行誓約書や労働条件通知書、学生にインターンシップに参加いただくときの誓約書などでSMBCクラウドサインを利用しています。
齊藤氏
電子契約の件数は当初の想定よりかなり多くなっています。初めの頃は操作に慣れない部分があって時間がかかったところもあるようでしたが、今は少なくとも紙契約よりスピーディーに終わっていますね。
武蔵野銀行 人事部 キャリア開発室 調査役 柿島秀之氏
柿島氏
人事部では、新卒採用の過程で学生の方に渡す内定式参加申込書をSMBCクラウドサインで発行していますが、以前は対面でその場でサインしてもらうこともあれば、まだ内定を承諾するかどうか迷っている方については一度持ち帰って決心がついたら郵送してもらうことも、あるいはこちらから郵送することもありました。
郵送時は正副2部と返信用の封筒を同封し、その後サインしたものを返送してもらって、こちらに届いたら押印して再度1部だけ送り返す、というように最大で1.5往復していました。
当行では新卒採用の人数が約100名で、内定を出す人数はそれよりも多くなりますから、少なくとも100件以上はそういったやりとりをしなければいけません。担当者はたった1人ですのでかなりの負担ですし、すべて完了した後はエントリー資料と一緒に綴って保管する作業もあります。
まとめると、面談する手間、書類をやり取りする手間、書類を綴る手間がかかっていて、なかなか返送されてこないときはメールや電話でリマインドする手間も発生していたわけですが、SMBCクラウドサインを導入したことで、それがほとんど一度で終わるようになりました。
書類データを送ってサインしてもらえれば完了なので、郵送の手間が完全に省けましたし、リマインドもSMBCクラウドサインの画面上からボタンを1回クリックするだけ。郵送にかかるコストを明らかに減らせて、紛失のリスクもなくなりました。
柿島氏
リードタイムは本当に短くなりました。郵送に時間がかかっていたのもそうですが、そもそも書類の送り先を決めるところでも苦労していました。学生の場合、エントリーシートの住所が実家になっていたり、下宿先や一人暮らししているアパートだったりして、どこへ送れば受け取りやすいのかが人によってまちまちです。
その確認後の発送となるうえに、1日以上かかって届いて、サインして返送してもらって……と、とにかく時間ばかりかかっていました。それがSMBCクラウドサインなら数分で完了してしまいます。まさに劇的なスピードアップですよね。
柿島氏
学生からのイメージアップにもつながっています。銀行といえば紙仕事というイメージがあると思うのですが、内定式参加申込書や誓約書などは自分のスマートフォンで受け取ってサインするだけということで、銀行のアナログな印象を払拭できているように思います。他社の選考が紙書類ばかりで、「今どき遅れているな」と思って当行を選んだという学生も実際にいたほどです。
インターンシップでは、学生が直接営業店に行って支店担当者と一緒にお客様を訪問したりするのですが、秘密保持に関わる誓約書にサインしてもらうために、以前は本店に一度集合してもらっていました。遠方の学生だとそのためだけに本店に来てもらうのも大変ですから、SMBCクラウドサインでオンライン対応できるようになったのは大きいですね。
齊藤氏
現在は個々の担当者が他の電子契約サービスのデータも含め全てSMBCクラウドサインのキャビネットに保管しているわけですが、このあたりはある程度1つの部署が集中的に管理する形で運用していった方がいいかもしれない、と考えています。クラウドストレージの活用やシングルサインオンの導入など、ユーザビリティを高めるための施策も検討していきたいですね。
また、現在はSMBCクラウドサインに直接アクセスして利用しているのですが、行内で普段使用しているワークフローの仕組みなどと連携して、契約書の送信や管理・運用をできるようにすることも検討中です。そうすれば行内業務だけでなく、お客様との間でも互いに負担なく電子契約できる環境が整うのではないかと思っています。
齊藤氏
当行が電子契約サービスを選定するにあたり重視したのは、導入実績の豊富さと、セキュリティがしっかりしていることでした。複数のサービスを比較検討するなかで、SMBCクラウドサインは国内シェアNo.1(※2)で、ISMAPの認証を取得(※1)していることが大きな決め手となりました。
導入後2カ月足らずで当初想定していたユースケースとは異なる人事部の内定手続きにも活用することになったわけですが、SMBCクラウドサインの使いやすさ、管理のしやすさなどのメリットを実感することで、今後も利用シーンは広がっていくと思います。
SMBCクラウドサインはすでに多くの金融機関で導入実績がありますので、今回のような導入事例を参考に検討されることをおすすめします。
柿島氏
金融業界では電子化に対してアレルギーみたいなものがまだあるのかもしれません。でも、電子化してみると本当に楽ですし、特にSMBCクラウドサインはシンプルに使えますので、まずはチャレンジしてみてほしいですね。銀行のイメージアップで人材の確保につながるという意外な効果も得られましたし、活用しないのはもったいないと思います。
(※1)システム提供元の弁護士ドットコム社/クラウドサインにて取得
(※2) SMBCクラウドサインと弁護士ドットコム社の電子契約サービス市場での売上シェア
株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2023年版」(電子契約ツール、2022年度実績)
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