鈴木氏
当社は静岡県沼津市に本店を置く地方銀行ですが、全国からのお客さまを受け付けており、個人向けサービスに特化していることが特徴です。一般的に法人のお客さまが多い他の地方銀行さまとは異なり、現在は全体の8~9割が個人のお客さまとなっています。
個人のお客さま向けに、主力である無担保ローンや住宅ローンをはじめとする商材を展開するとともに、預金額に応じた宝くじのプレゼント、ANAマイルやVポイントの付与といったユニークなサービスも提供しています。全国のお客さまからご利用いただけるよう、1999年というかなり早い段階からネットバンキングにも対応してきました。
スルガ銀行 ダイレクトバンク FI企画室 部長 鈴木謙吾氏
鈴木氏
クラウドローン株式会社さまと協業している無担保ローンの商材があり、クラウドローン株式会社さまから送客されてきたお客さまが、Web経由で当社に申し込まれる形になっています。その際に、金銭消費貸借契約を締結するため契約書をやりとりすることになるのですが、非対面が原則ですので、紙の契約書を郵送する作業が発生してしまうと、件数が多いこともあって作業負担が大きく効率も良くありません。
そこで、非対面でのサービス申込みをスムーズにするためにも、電子化が必要だと判断し、まずはその無担保ローンの新規契約にSMBCクラウドサインを導入することに決めました。他の電子契約サービスとも比較したのですが、インターフェースの分かりやすさと使いやすさ、それに加え利用料金がリーズナブルだったことが決め手になりました。
鈴木氏
たとえば住宅ローンでは、たいてい30年や35年などの長いお付き合いになります。最初に契約してから返済を終えるまでの間に、お客さま側で事情が変わるなどして契約書を締結し直すことも少なくありません。たとえば、返済期間はそのままで毎月の返済額を変えられるようなケースでは、変更契約を締結することになります。
その際、お客さまと契約書を郵送しあって、不備があったら再送して……といった時間や手間のかかる作業が発生してしまうことがあるので、できるだけそれは避けたいと考えました。今は皆さんスマートフォンをお持ちですから、電子契約にしてお客さまにスマートフォンでご対応いただければ、ペーパーレスで手続きが完了できるようになると思いました。
無担保ローンや住宅ローンは人気が高いこともあって件数が比較的多く、その管理をいかに効率化するかは課題でした。お客さまの数が増えても、対応できなければ実行性に乏しくなってしまうので、さらなる効率化を図るという観点から変更契約にも導入することにしました。
鈴木氏
郵送でやり取りするところもそうですが、お客さまが紙書類に記入したり捺印したりする箇所を分かりやすいようにマークするなど、準備作業にも時間がかかります。返信用封筒を同封するための作業やコストも必要です。一方で、お客さまの側でもミスのないように記入しなければなりませんし、数千円の印紙代の負担を強いてしまうところもありました。
紙の契約書の保管方法やスペースについては、今のところまだ問題にはなっていないものの、将来的にはネックになる可能性があります。過去の契約書を参照することになった際には、出庫したり電子化したりするときに面倒な手間が発生します。しかし最初から電子化されていれば、お客さまの情報を確認したくなったときにも対応しやすいはずです。
和田氏
紙の契約書の時は、お申し込みいただいたお客さまの本人確認のために、本人確認用書類と契約書を一緒に郵送していただいたうえで、電話口で生年月日などのご本人しか知り得ない情報を確認するようにしていました。しかし契約書を電子化するにあたっては、非対面で、よりスムーズに手続きを進められるように、本人確認書類の提出もWebで行えるように変更しました。その内容が確認でき次第、契約書を作成してSMBCクラウドサインで送信し、締結するという流れです。
導入時には、そうした本人確認の手順をどうするか、なりすましをどう防ぐか、といった部分での協議に時間をかけました。実際に活用していくところでは、比較的若いメンバーが揃っている部署だとすんなり使いこなしていたのが印象的です。
スルガ銀行 ダイレクトバンク FI企画室 アシスタントマネージャー 和田愛美氏
鈴木氏
SMBCクラウドサインの担当の方から、我々を含む導入担当部門に細かくレクチャーしていただきました。最初に丁寧に伴走していただけたのは本当にありがたかったですね。不明なところがあったときも都度メールで相談させていただき、かなり心強く感じました。
鈴木氏
書類を郵送するのに必要な準備がなくなり、そこで発生しがちな作業ミスもほぼゼロになりました。コストについては、SMBCクラウドサインの契約書送信1件ごとの費用を本部側で負担する決まりにしたので、営業店にとっては書類をやり取りする費用がかからず負担も減ることになります。最近は郵送代が値上がりしたので、さらにコスト削減効果が顕著になってきています。
和田氏
締結にかかる時間も、もちろん短縮できました。これまでは送付した書類がお客さまのところに到着するのに時間がかかり、返送していただくまでに数日はかかっていましたが、SMBCクラウドサインだと早ければその日のうちに締結が完了します。
日付と名前を記入してチェックを1箇所入れていただく程度ですので、お客さま側の手間も確実に減っていると思います。これまでお客さまには印紙代も負担していただいていたのですが、電子契約だと不要になりますので、「ぜひ電子契約で」という声も増えてきているところです。
鈴木氏
お客さまの期待感としても「紙書類での手続きは、このご時世に合わない」というところがあると思います。そうした意識変化にしっかり対応できたのも大きかったように感じます。
鈴木氏
確定してはいないのですが、新規の住宅ローンなどの契約でもSMBCクラウドサインを利用できればと考えています。もしそうなれば、おそらく社内全体の業務に影響してきますので、必要な体制の確認と精査を進めていきたいと思います。
また、最近だと他社さま主導で秘密保持契約などを電子契約で締結するケースも増えてきました。そういったライトな契約を電子化していくこともあるのではないかと思います。
鈴木氏
同じ金融機関であっても、事業構造や体制などによってどこを電子化しやすいかは変わってくると思います。当社は個人向けサービスが多いという事業構造などから、無担保ローンの新規契約をまずは電子化し、その後、変更契約にも広げていきました。純新規のお客さま向けの契約と既存のお客さま向けの契約のどちらが先だと導入しやすいのか、そういった観点から電子化を検討してみてはいかがでしょうか。
ただ、完全非対面で電子契約できるのはメリットでもありますが、銀行業務においてはデメリットになり得る部分でもあります。対面でお話しするというのは貴重なお客さまとの接点で、そこで課題をヒアリングしたり、コンサルティングさせていただいたりすることもあるわけですが、そうした営業機会が失われることにもつながりかねません。いかに電子化とアナログ業務のバランスをとるか、そこも今後の課題になってきそうです。
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